-パーキンソン病の予防効果に期待- 海藻特有のポリフェノールが持つ新たな効果を発見
ポイント
◇海藻「カジメ」に含まれるポリフェノール(ECP)の、パーキンソン病予防効果を検証。
◇ECPの経口摂取が、運動機能の回復とドーパミン作動性ニューロンを保護することをモデルマウスで確認。
◇ECPが細胞内の活性酸素種の産生を抑制し、神経細胞の損傷を軽減する可能性を示唆。
概要
パーキンソン病は指定難病の一つで、神経伝達物質のドーパミンが減少することで発症します。しかし効果的な治療薬はなく、治療法や予防法の確立が重要な課題となっています。
大阪公立大学大学院生活科学研究科の安田 有里大学院生(2023年度博士前期課程修了)、堺 真菜美大学院生(博士前期課程2年)、小島 明子准教授らの研究グループは、食用としての歴史も長い海藻「カジメ」に含まれる、褐藻類特有のポリフェノール(ECP)の、パーキンソン病予防効果と作用メカニズムを検証。モデルマウスを用いた運動機能試験から、ECPの経口摂取により運動機能が回復することが分かりました。また、モデル細胞を用いてその作用メカニズムを調べたところ、ECPは細胞内のエネルギーセンサーであるAMPKを活性化し、神経細胞死を引き起こす活性酸素種の産生を抑制することが明らかになりました。
本研究成果は、2024年6月28日に国際学術誌「Nutrients」のオンライン速報版に掲載されました。
掲載誌情報
【発表雑誌】Nutrients
【論文名】Ecklonia cava Polyphenols Have a Preventive Effect on Parkinson’s Disease through the Activation of the Nrf2-ARE Pathway
【著者】Yuri Yasuda, Tamaki Tokumatsu, Chiharu Ueda, Manami Sakai, Yutaro Sasaki, Toshio Norikura, Isao Matsui-Yuasa and Akiko Kojima-Yuasa
【掲載URL】https://www.mdpi.com/2072-6643/16/13/2076
資金情報
本研究は、科研費20K11626の支援を受けて行われました。