大学研究成果プレスリリース 2024年7月29日

食品中の核酸が抗がん効果を持つことを発見!

ポイント

◇食品に含まれる核酸の新たな生理作用として、抗がん効果に着目。
◇核酸の消化過程で発生するヌクレオシドが細胞分裂を阻害し、がん細胞の増殖を抑制することが明らかに。
◇食品を用いたがん予防へ大きな一歩となる成果。

概要

肉や魚介類、豆類などの食品中に多く含まれる核酸は、免疫調節機能やアルコール性肝疾患の予防効果など、さまざまな生理作用を持つことが知られています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の小島 明子准教授、塩見 奈穂子大学院生(2018年度大阪市立大学大学院 前期博士課程修了)、古田 麻美亜大学院生(2022年度大阪市立大学大学院 前期博士課程修了)らの研究グループは、核酸の新たな生理作用の可能性として抗がん効果に着目。核酸を多く含むトルラ酵母と鮭白子からそれぞれ抽出したRNA、DNAを用いて、その抗がん効果を検証しました。その結果、核酸の消化過程で生成されるヌクレオチドやヌクレオシドが、がん細胞の増殖抑制効果を持つことが分かりました。また、ヌクレオシドの中でも、グアノシンと2′-デオキシグアノシンにのみに抗がん効果があること、細胞周期のG1期(DNA合成準備期)からS期(DNA合成期)への進行を抑制し、がん細胞の増殖を抑えることが明らかになりました。本成果は、食品を用いたがん予防へ重要な一歩に繋がることが期待されます。
本研究成果は、2024年7月18日(木)に国際学術誌「PLOS ONE」のオンライン速報版に掲載されました。

掲載誌情報

【発表雑誌】PLOS ONE
【論文名】Suppression of Ehrlich ascites tumor cell proliferation via G1 arrest induced bydietary nucleic acid-derived nucleosides
【著者】Nahoko Shiomi, Mamia Furuta, Yutaro Sasaki, Isao Matsui-Yuasa, Keisuke Kiriyama, Mica Fujita, Keita Sutoh, Akiko Kojima-Yuasa
【掲載URL】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0305775

資金情報

本研究は、JSPS科研費JP15K00832、ならびに株式会社フォーデイズからの支援を受けて行われました。

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